〜トレーナーからのメッセージ〜

アマチュアの誇りを持って目指すもの




「大人になってから楽器を始めた人たちを中心にして、合奏団を作らない か?」、という相談をされたとき、「どうせなら、どんな合奏団もやっていない ことができないか」と考えました。それは、「基本に忠実な合奏体ができないだ ろうか」ということでした。

アマチュアとして30年余りヴァイオリンを弾いてき て、アマチュアにはもったいないような幸せな体験もたくさんさせていただきま した。それを少しでもたくさんの人に伝えたい、という思いが、アズールのいわ ば「前身」である、「ドレ会」のトレーナーを続けてきた理由でした。そして、 アズールを立ち上げるとき、「基本に忠実に」やってみようと考えたのは、これ までいろいろなところでアンサンブルを経験してきた中で一番辛かったことが、 「基本を考えない・考える余裕がない」というオケの実態だったからでもありま す。それに対する何らかの回答が出せないだろうか、と、以前から考えていたこ ともありました。実際に練習を始めてからは、こういったことが自分の中でのモ チベーションを支えることになりました。

ここで言う「基本」とは、「楽譜に書いてあることをできるだけ忠実に演奏す る」ということに尽きます。問題は、この「書いてあること」の意味にありま す。

幾つかの例を挙げましょう。

まず、楽譜には「音の高さ」が書いてあります。当たり前のことのようですが、 この「音の高さ」を正確に再現することは容易ではありません。例えば、モーツ ァルトの曲はほとんどが「スケールと分散和音と和声進行」で出来ています。し かし、この「スケール」一つを取り上げてみても、「正確なスケール」を理解す ることは大変なことなのです。ト長調のスケール(ヴァイオリンにとっては一番 理解しやすいものでしょう)ですら、美しく演奏することは大変です。しかし、 正確なスケールは、とても美しいものなのです。

アマチュアの合奏団の多く(多くのプロも、と、敢えて言ってしまいますが) が、「そこそこの音程」で満足して、「曲を演奏する」ことに重きを置いていま す。弦のトレーニングをしているときに「音程」のことを細かく言い始めると、 「そんなことはできない」という一言で済まされてしまうことがほとんどです。

多くの先達たちが、「弦楽器にとっての正確な音程」について頭を悩ませてきま した。(弦楽器だけではありませんね。音程・和音そのものが、古くからの「難 題」でした。)多くの研究がなされ、多くの成果を見ることが出来ます。しか し、そもそも「固定してある五度で演奏する」以上、音程上、いろいろな矛盾が 生じます。ピアノは、楽器の発展段階で「平均率」というシステムを得て、一 応、「完成された」ものになりました。(だから、ピアノには「音程」が存在し ないように思われています。でも、実際はピアノにも音程は存在します。)しか し、弦楽器は、五度を自分で合わせられるために、いまでも種々の説があり、い ろいろなことが言われています。ヴァイオリンの関係のサイトをいくつか眺める だけで、そのことははっきりするでしょう。「調弦は純正調で」という先生も 「平均率で」という先生もいらっしゃいます。このことだけでも、弦楽器の音程 というモノがいかに難しいものか、ということを知ることが出来るでしょう。

また、「楽譜に書かれいていること」を理解するためには、たくさんの「基礎知 識」が必要になることがあります。特に古典を演奏する場合、作者の意図を知る ことはとても難しい作業になります。楽譜の意味を理解すること・・・これも重 要な作業です。

もう一つ、大きな目標があります。それは、「合奏団にいて楽器が上達する」と いうことです。 合奏する、ということは、ある意味で「技術の消費」になってしまうことがあり ます。一人で一生懸命練習した蓄積を、合奏の場で消費してしまう、ということ です。多くの心ある先生方が、始めたばかりの人たちに「アンサンブル禁止」を 申し渡しているのも、とてもよくわかります。ヴェテランでも、オケで弾いてい ると「下手に」なることがよくあります。 この「常識」に挑戦することも、目的でした。そのためには、合奏をしていると きに「技術が荒れない」注意が必要です。さらに一歩進んで、楽器の奏法そのも のも向上するように、いろいろな工夫をしてみたいと思っていました。 大人になってから楽器を始めた人に与えられている時間は、子どもの頃から十分 に時間をかけて上達してきた人たちから比べて、はるかに短いものです。その中 で、楽器も上達したい、アンサンブルも楽しみたい、という「欲張りな」要求に 応えられる場にしたい、と考えています。

アズールのメンバーの多くは、大人になってから弦楽器を始めた「レイトスター ター」です。ですから、もちろん技量的には「下手くそ」とされる人がほとんど です。しかし、本音を言ってしまうと、変な先入観がないだけに、本当に「美し いもの」に対して厳しくあってくれるのではないだろうか、という期待があった ことも事実です。この期待は、練習を積み重ねてみて、裏切られることはありま せんでした。実際に練習の約三分の一をスケールなどの基礎トレーニングに費や すことができるのも、みなさんが「本当に美しいもの」を真剣に希求されている からなのです。最近は「たまに」美しい響きが聞こえてくるようにもなりまし た。この「点」が「線」になり、面になったとき、合奏団にいる人たちに、私が 得てきた「幸せ」の幾ばくかを感じていただけるのではないか、と思っていま す。

まだまだ「ひよこ」以前の合奏団ですが、アマチュアの誇りを持って、本当に 「美しい」と感じられる合奏ができるように・・・微力ですが、こんな「究極の 目的」を実現するためのお手伝いができれば、こんなに幸せなことはありませ ん。

Strings Azure トレーナー/K.MAKI


Strings Azure団員の皆さん、そして、Azureに興味を持ってくださった皆さんに是非読んで頂きたいページがあります。それは、トレーナー氏のホームページにある以下の記事です。どうぞご一読ください! (以下の項目よりトレーナー氏のページへ直リンクします。別ウィンドウにて表示しますので、当サイトへ戻る場合はウィンドウを閉じてください。)

●アンサンブルのレッスン
●大人になって始める楽器
●初めてのオーケストラマニュアル




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